設備関連の施工図作成で注意したいこと

設備関連の施工図の種類

施工図にはそれぞれの工事区分や目的などに応じて、異なる詳細な指示が記載されていますので、かなり多岐にわたる図面が作られます。その中でも、設備関連の施工図は種類が多いです。大まかな工事内容を挙げるだけでも、空調関連や給排水設備、電気配線、電気設備関連、衛生設備、安全設備など、実に様々です。それぞれの設備で異なる施工図を作成することになりますし、同じ設備でも配線や給排水、取り付けなど、異なる目的のために複数の施工図が必要となるケースも見られます。設備は、建物の住人や利用者が最も日常的に使うものでもあり、顧客満足度に直接関係する部分です。それだけに、機能的にも見た目という意味での仕上がりにおいても、質の高い施工をしたいものです。そういった観点からも、施工をよりスムーズにできるように、良くできた施工図を作成することは重要なのです。

多くの建物でも必要なものとしては、排水設備や給水設備、空調ダクト施工図、照明配置図、電気関連の展開図などがあります。また、大型の施設ともなれば、冷媒配管や蒸気配管、給湯設備、さらには非常ベルやスプリンクラーなどについての指示を出す、安全関連設備の施工図も求められます。さらに、工場などの大型の機械が設置される現場においては、電動シャッターや強制換気システム、ベルトコンベヤー用の電源やモニター類などの設置施工図も作成することになります。それぞれの施設の目的によって、かなり設備関連の施工図の種類が変わってくるのです。

設備関連の施工図作成における注意点

設備を設置するためには、電源や給排水、空調などとの接続が必要とされることがほとんどです。また、導入する機器の型番によって、接続するためのパイプやケーブルの径や形状が異なります。そのため、設備関連の施工図では、接続の指示に特に注意すべきです。用いる管の種類や口径を事前に確認して、発注する機器に適合したものなのかをチェックすると共に、施工の際に用意すべき資材リストに加えることになります。

さらに、設備は設置後も定期的にメンテナンスや保守を必要とすることがほとんどです。そのため、施工する時だけでなく、その後のことも考えて、施工図をチェックすることが重要です。たとえば、設備によって付けられているバルブやメーターなどが、すぐに確認できる位置にあるのか、調整が必要な時に作業しやすい配置となっているかなどを見ます。他にも、天井裏や壁裏などに入り込んでいる機器をチェックするためには、点検口が必要となることがあります。その取り合いを施工図の作成の際に注意して、点検口から必要な箇所を確認できるのかを見ることも大事です。これは、施工図を作成する会社の判断では難しいことが多いので、依頼をする時にしっかりと指示をした方が安全です。

もう一つの点は、施工がしやすいかどうかということです。設備によっては、かなり大型で分解ができないので搬入のためのスペースを広く取らないといけなかったり、取付位置に納めるために一定以上の角度を確保しているべきだったりします。さらには、取り付けや搬入のためにリフトや重機が必須ということもあります。単にキレイに納められるだけの施工図を作成するのではなく、作業の手順も考えて、十分なスペースや順番を確保できるように作成することが大事なのです。また、電源やダクトの位置によっては、設備を接続する前に、施工完了していないといけないケースがあります。それを見越して、施工図の取り合いを検討しておくことで、実際の作業がスムーズになります。

構造設計との兼ね合いも注意したい点です。一般的な設備では大きな問題とならないのですが、大型の設備ではかなりのスペースと重量を持つことになるため、構造設計上、指定した位置に設備を置いても重量などの点で問題がないかを確認した方が安全です。さらにアンカーを打つ場合などは、床面に打っても配管や配線、また構造自体に影響を及ぼさないか、関連する施工図と比較して検討しないと、大きな事故につながってしまう恐れもあります。他にも、機器によっては耐震のための基準を満たさないといけないことがあります。そのために、特殊な取り付け金具を使ったり、特別な工事をしたりするケースも見られます。こうした点については、設計図ベースでは考慮されていないこともありますので、施工図を作成する時にきちんと関連する要素を確認すると共に、依頼時に説明を加えるようにしましょう。

全体的な注意点として、施工図を作成するために、建築図面が最新のものかを確認することも重要です。設備の設置は工程の中でも最後の方になるため、他の工程を検討している段階や工事が始まってからでも、変更が加えられることが多いです。そのため、施工図を作成する時や変更する時には、参考にする他の図面も最新のものでないといけないのです。