給排水施工図で求められることとは?

給排水の施工図で確認できる事項

一つの現場を完成させるためにはたくさんの施工図が作られますが、その中でも給排水関連の図面は、どの現場でも欠かせないものです。また、他の工事区分もしくは施工図との関連性も高いものですので、質の高い図面が求められます。

給排水施工図ではどんなことが確認できるかというと、まず給水設備についての詳細を知ることができます。具体的には、外部からどのように建物内部まで水を供給するか、大まかな流れを示す系統図が作られます。その上で、それぞれの部屋や設備に供給するための室内、ほとんどは壁の中や天井裏の配管の詳細が記されます。こうした配管は、単にどこにどの寸法で通すかということだけでなく、それぞれの管の口径や取り合いなども記載されます。そして、部屋のどの位置に洗面器やトイレ、キッチン家具などの設備が来るかを記し、その接続についての詳細も指定します。設備によって、前後のどの位置に配管を出すかが変わってきますので、設備状況の確認をしながら給水配管の寸法を決めなければなりません。

こうした給水系統とは別に、排水設備についての指示も施工図の中で行っていくことになります。ほとんどの設備で、給水と排水はセットになっていますので、ほぼ同じような配管がなされることが多いです。給水設備と同じように、パイプの口径などの指示もなされます。ただし、排水の場合は外部との接続場所が異なるケースも多いです。そのため、壁内や天井裏の配管場所は給水と同じになるとはいえ、外部との接続に近づく箇所においては配管の位置が変わってきます。

基本的には、この二つの系統が施工図に記されることになります。どちらのケースも、設置される設備の内容によって、最終的な配管の位置や管の口径などが変わってくることがあります。そこで、設備の変更が生じた場合などは、給排水施工図にも変更を加えないといけなくなってきます。

建物の種類によって大きく仕様が異なる

給水と排水の系統と詳細は、一般住宅など小さな現場でも必要となりますが、大規模な現場だとそれ以上のことが求められます。たとえば、テナントビルや商業施設など、多くの人が利用する場所においては、法律によって、消火設備の設置が義務付けられています。そのため、トイレやバス、キッチンといった一般的な場所以外にも、配管をしないといけません。多くの場合、消火設備は排水が不要ですので、給水系統が分かるようにします。

消火設備のための給水は、主にスプリンクラーと消火栓で必要とされます。トイレなどはすべての部屋に設置されることがなくても、スプリンクラーは建物の作りによってはほとんどの部屋に設置しないといけません。そのため、配管図が大きく複雑になる傾向があります。通常、天井に配管を持って行き、スプリンクラーを設置することになりますので、電気照明などの他の設備との取り合いを考える必要も出てきます。消火栓は通常廊下などの公共エリアに設置されます。個数は多くないので複雑になることはありませんが、十分な水圧を確保するために特殊なパイプを用いるケースもあります。どんな消火設備を設置するのかを見た上で、適切な指示を行う必要が出てきます。

規模が大きな建物特有の給排水設備としては、タンクやポンプの設置の必要性を挙げることができます。本水道管から直接ビルすべてに水を供給するのは難しいため、通常は建物の外部もしくは屋上にタンクを設置して、そこから供給することになります。そして、すべての箇所に十分な水圧を持たせるために、ポンプを噛ませることになります。こうしたことから、大規模施設においてはタンクの設置についても、設備図面と共に給排水の取り合いを考えていかないといけません。

建物の規模とは別に、本下水が通っていない場所では浄化槽の設置が求められることになります。郊外に多い仕様となりますし、大規模施設や工場でも、環境衛生設備の一つとして、何らかの浄化設備が設けられることが多いです。家庭用の小さな浄化槽であればさほど難しくありませんが、工場用の浄化設備の場合は、特殊な知識が求められることもあります。十分なノウハウを持った人に施工図作成を依頼する方が安心です。

給排水施工図における注意点

給排水に関係する工事は、壁の中や天井裏で行われるものです。そのため、工期の早い段階で実施されます。それに伴って、これに関する施工図も、他の種類の施工図より早めに必要となることが多いです。また、給排水施工図を作るためには、取り付けられる設備についての情報が必須です。そのため、設計図ができたらすぐに設備情報を集めて、給排水施工図の作成を始めるようにしましょう。

また、上述のように給排水の取り合いは複雑になることも多く、他の工事区分との取り合いを綿密に検討しないといけません。施工図が上がってきたら、他の図面と照らし合わせながら、細かく漏れがないかどうか、納まりがおかしくならないか、チェックするようにしましょう。