内装関連の施工図の質を上げるためにできること
内装工事に関係する施工図は多い
内装は工事の中でも最終的な工程に属するもので、細かな点まで仕上げ方を指定する必要があります。そのため、内装工事に関係する施工図の種類は多く、それぞれの工事箇所、工事種類によって分けられています。
基本となるのは平面詳細図です。これは、内部の各スペースの寸法や設備の設置場所、仕上げの方法などが指定されている図面です。他の設備や工事との兼ね合いを確認し、全体の寸法をチェックするために必須となるもので、重要度が高いです。その分、たくさんの情報が細かく記されていて、図面の中にぎっしりと符号や指示が記されています。そのため、慣れていないと読み取りをするのが難しいこともあります。
この平面詳細図をさらに細分化して、それぞれの場所や工事内容に分けたものがあります。たとえば、壁や天井の造作詳細図や床伏図、割付図などです。また、内装にタイルを施すのであればタイル割付図が必要となりますし、備え付けの家具を設置するのであれば造作家具詳細図といったものを作ります。こうした詳細図では、それぞれの部材の寸法や材質についての説明がなされます。工場もしくは現場で、この詳細図を見ながら製作、取り付けを行っていきます。多少の誤差は現場で調整できることが多いとはいえ、ちょっとした寸法のずれで設備や家具が納まらないということもありますので、正確な施工図が求められます。
他にも、建具やカーテンウォールなどに関係する内装施工図もあります。既製品を取り付けるだけであれば問題ありませんが、注文住宅でデザインの凝ったものを依頼されたとか、マンションのように大量に同じものを取り付ける場合は、別個に製作することが多くなります。こうしたケースでは、それぞれの箇所に合わせて詳細図を作成していくことになります。取り付け方や寸法によって、壁下地との兼ね合いも出てきますので、早いうちにどんな建具やカーテンウォールを設置するかを決定して、事前に壁内部の工事を対応させる必要があります。
内装関連の施工図を作る際のポイント
内装工事は最終的に施主様の目に触れる工事となりますので、ミスの許されない緻密な作業となります。そのためにも、施工図は漏れのない正確な仕上がりとしなければなりません。基本的には意匠図や仕様書から読み取って作成していくことになりますが、作成者との十分な打ち合わせをすることによって、質の高い図面を提供できるようになります。
たとえば、タイルの割付などは資材の発注にも影響することになりますし、どの製品を使うかによって全く割付の仕方が変わってきます。標準的なタイル寸法というものがありますが、中にはこだわって特殊なものを使いたいという施主様もいます。割付の仕方によってかなり見た目のイメージが変わってきてしまうこともよくありますので、事前に割付のイメージをすり合わせておいた方が安心です。
設備の取り付けについても注意が必要です。設備はそれぞれの施主様の要望が強く出る分野で、プロジェクトの進行途中でも変更が生じやすいという点があります。そのため、変更が生じたらすぐに連絡を取り合って、確認しないといけません。それによって、壁下地や配管、配線の位置が変わってくることもあるからです。また、建具との取り合いなども調整するケースが出てくる可能性も考慮しないといけません。
設計事務所や工務店によっては、3D動画を使って建物の完成イメージを施主様に見せていることがあります。そして、そのイメージの通りに仕上げがなされることを期待しています。特に、内装については最も生活や業務で使う空間となりますので、非常に重要視されます。こうした完成イメージがすでに出来上がっているのであれば、それと施工図で示す完成像が一致するかをチェックしましょう。設計図や意匠図から読み取りにくいものであれば、そのイメージを共有することもできます。
内装は、単に機能的で合理的な作りになっていれば良いというものではなく、見た目の雰囲気というものが他の工事よりもかなり重視される分野です。職人さんたちは施工図を基にして、現場で作業を進めていきます。そのため、施主様や設計士が持つ完成イメージと施工図が合致するように、きちんと情報を共有することがポイントとなってくるのです。
そして、それぞれの内装仕上げのバランスを取るということも、質の高さに影響してきます。つまり、建具や家具、タイル、設備など、それぞれの工事がしっかりとできているとしても、お互いの納まりが考えられていないと、美しく仕上がらないのです。たとえば、タイル目地と建具の外枠が全く揃っていないとか、建具の枠の上端の寸法がお互いに合っていないということがあり得ます。バランスが取れた状態になるように、立体的な仕上がりをイメージすることや、それぞれの施工図を比較することが成功のカギとなります。